史跡を巡りながら歴史の謎を解き明かす旅をしていると、「土蜘蛛」という、ある存在にたどり着くことがあります。
実は、日本最古の歴史書とされる『古事記』や『日本書紀』に、土蜘蛛と呼ばれた不運な民のことが記されているのだ。ヤマト王権の黎明期の動向を記したとされる「神武天皇紀」や「景行天皇紀」「神功皇后紀」などに、その名が頻繁に登場する。天孫族（てんそんぞく）なる王権の支配者たちが各地を制覇するにあたって、まつろわぬ土族ばかりか、山中の窟などにひっそりと住まう民までこう呼び捨て、無慈悲な殺戮（さつりく）を繰り返したのである。
大和国の高尾張邑（たかおわりむら・奈良県葛城市）をはじめ、碩田国（おおきたのくに・大分県）の鼠の石窟、直入県の禰疑野（ねぎの・大分県竹田市）、高来県の玉杵名邑（たまきなむら・熊本県玉名郡）等々、枚挙にいとまがないほど、その居処が記されている。いずれの民も、王権に従わなければ有無を言わさず殺されたわけだから、襲われた方としては、恨んでも恨みきれない思いがあったはずである。
歴史人 から引用
この「土蜘蛛」という言葉は、大和朝廷に従わなかった人々への蔑称だったと言われています。
実は、日本で最も古い歴史書とされる『古事記』や『日本書紀』にも、この「土蜘蛛」と呼ばれた人々のことが記されているんです。
特に、ヤマト王権が始まった頃の出来事を記録した「神武天皇紀」や「景行天皇紀」「神功皇后紀」などには、その名前が頻繁に登場します。
当時の支配者であった天孫族（てんそんぞく）が各地を征服していく中で、彼らに従わない土着の民だけでなく、山の洞窟などにひっそりと暮らしていた人々まで、一方的に「土蜘蛛」と呼び、容赦なく殺戮を繰り返したとされています。
彼らが暮らしていた場所は、本当に数えきれないほど多くの記録に残っています。例えば、大和国（現在の奈良県）の高尾張邑（たかおわりむら）をはじめ、大分県の碩田国（おおきたのくに）の鼠の石窟、同じく大分県竹田市の直入県禰疑野（ねぎの）、熊本県玉名郡の高来県の玉杵名邑（たまきなむら）など、その居場所が詳細に記されています。
どの地に暮らす人々も、ヤマト王権に従わなければ容赦なく殺されたわけですから、襲われた側からすれば、恨んでも恨みきれない思いがあったはずです。
「土蜘蛛」と呼ばれた人たちに関する情報は、この私たちが暮らす北部九州エリアにも数多く残されています。
以前、記事にも書いた、北九州市小倉南区の朽網（くさみ）にある帝踏石（たいとうせき）も、その一つなんです。
他にも、どこで見た情報だったか、もう一度調べ直す必要がありますが、豊後高田市の夷（えびす）や、霊峰・英彦山（ひこさん）にも土蜘蛛にまつわる話が残っていたと記憶しています。
これらの場所についても、いずれ分かっていることをもっと詳しく知り、記事として皆さんにお伝えしていきたいと思っています。
追記：土蜘蛛＝土雲。「雲」が何かを意味しているのか
史跡巡りを続けているうちに、明治時代の神仏分離令前後で、神社の名前や御祭神が変えられたり、寺がつぶされるなどの変化が実際に起こっていることを知りました。
そのうち、大物主を主祭神とする「金毘羅さま」が、一般的にそう認識している「海」の神様ではなく、「風」と「雲」の神様であることが分かりました。
土蜘蛛のもう一つの表記、古事記での表記が「土雲」です。
それ以外でも、越後風土記の逸文に「土雲」、常陸風土記久慈郡にも「土雲」と書かれているようです。
金毘羅様の「雲」と、土雲の「雲」なにか関連はあるのでしょうか。