zine
Webサイト「豊のくにあと」をご覧いただき、ありがとうございます。
運営者の「ぶぜんノート」です。
このたび、写真と文章をまとめたZINE(ジン)を発行しました。
ZINEは、個人や小さなチームが自由に作る小冊子のことで、詩やイラスト、写真など、自分の思いや視点を自由に載せられるメディアです。
私はこれまでフォトライターとして活動してきました。
写真と文章で、土地に宿る物語を届けたいという思いから、このZINEを作りました。
なぜZINEを作ろうと思ったのか——
それは、私が暮らす北部九州、とくに豊前市周辺の歴史や文化の魅力を、もっと多くの方に知ってほしかったからです。
子ども時代は大阪の工業・商業地帯で暮らし、街のイメージといえばコンクリートやアスファルトの灰色でした。
そんな子供時代に訪れた和歌山県は真言宗の総本山「高野山」、奈良県の平城宮跡や若草山。
普段見てきた景色とは真逆で、異世界のような衝撃を受けました。
大人になり、北九州へ移り長く住んで、それから同じ福岡県内の豊前市に移住しました。
移住して、目に映るものが新鮮で、時間を忘れるように撮影してきました。
豊前市はかつて「豊のくに」と呼ばれ、車で1時間圏内には宇佐神宮、国東半島、それに古墳が数多いみやこ町、修験道の聖地「英彦山」もある、濃い歴史を持つエリアです。
「こんな何もないところに、よく移住されましたね」
そう仰る方もいらっしゃいましたが、そんなことはありません。
山や集落に残る、昔の神社や山、史跡。
芳しい森の香り。
秋に各地で響くお神楽のお囃子の音、楽しそうな声。
ここにはこんなに豊かさがあると、私は思いました。
自分が住んでいるエリアだけでなく、きっとほかでもこんな場所はあるでしょう。
ずっと暮らしていたら気づかないだけで。
近くの人にも、遠くの人にも、残された歴史の素晴らしさを伝えたい。
そのためにはWebだけでの発信では難しい。
手に取れる形にして、人から人へ伝わるように。
「ここはよいところだから、いつか行ってみて」
「今度一緒に見に行きましょう」
ものすごく多くの人が来るような場所ではなくても、好きな人はとても好きな場所だと思います。
だから身近な人が「こんなの好きだと思って」と手渡してくれたらと、小さな文庫本サイズにしました。
「後からまた読もう」ではなく、「よかったからどうぞ」と別の人に渡るように。
この小さな本が、地域の歴史の観光資源化の一助となれば幸いです。