北九州市から豊前市に移住するきっかけとなったのは、実は求菩提山だ。
求菩提山は古くから信仰の対象であり、かつて数多くの山伏たちが修行し、暮らしていた山だ。
学校関係でずっと悩んでいた子供がある時「ここに登りたい」と言った。
インドア派の我が家は登山などしたこともなく、ネットで調べて豊前市の史跡ガイドボランティアのグループが一緒に登って案内をしてくれるということを知った。
求菩提山に登ったことがきっかけで、私と子供にとって豊前市は「知っている町」になった。
一度、その町の山に登ったことがあった。
それが豊前市を移住先に選んだ最後の決め手になった。
移住後は、移住元でWeb系の仕事をしていたことから、豊前市役所及び市役所経由で情報発信の仕事が入るようになり、取材の仕事で求菩提山によく登るという人からも色々話が聞けた。
「特に中宮から先、鬼の石段からなんですけど、登れる人と登れない人がいます。急な天気の変化とかで。」
「自分があまりよくない気持ちを持っていた時、里と山の結界の石門のあたりで、バチっとはじかれたみたいに感じた時はありましたよ」
などと、不思議な話を聞くことがよくあった。
豊前市に数ヶ月滞在していたベルリン自由大学の文化人類学の研究生、Cecilia Luzi(チェチリア・ルージ)さんも、構の石門という里と山の結界エリアで「ここから雰囲気が違います!分かります」と言っていた。
求菩提山とはやはり何かあるのではと個人的には思い続けている。