豊前市に移住してから四年間。
撮りためた写真を見直し、記事にも修正を加えていて、ふと気づいたことがあります。
以前こちらの記事で書いていた、宇佐市や中津市に貴船神社が多い謎。
ずっとこちらに住んでいる方はもちろんご存知ないと思いますが、関西生まれで京都の親戚宅によく泊まりに行っていた自分にとって、貴船神社とは京都の山奥っぽい場所に１ヶ所のイメージでした。
それゆえ、宇佐市や中津市で見かける貴船神社の多さに大変驚きました。
本拠地だから１ヶ所しかない？
いやいや、それなら八幡神社はどうなのかと。
シンプルに考えたら本拠地のほうが多いものなのでは。
疑問は消えませんでした。
宇佐市や中津市だけでなく、上毛町や北九州市にも貴船神社はありました。
いずれも古い神社です。
貴船神社（貴布祢神社）から他の名前に変えられているケースもあります。
古墳に建つ神社は歴史が古いです。
そうやって豊前から、中津市〜宇佐市〜豊後高田市を巡っていて、貴船神社以外でも同じように、京都では１ヶ所だったのに、やたら多い神社が他にもあることに気づきます。
八坂神社です。
全国にある祇園社の総本社「八坂神社」も、私が知る限りでは京都で１ヶ所です。（GoogleMapで「京都府 八坂神社」と検索したら１ヶ所）
住んでいた大阪でも、八坂神社は身近になかったように思います。
八坂神社は全国に約3,000余社（関連神社含む）あると言われている、数が多い神社ではありますが、本拠地エリアが少ない気がしますね。
中津市の八坂神社
宇佐市の八坂神社
豊後高田市の八坂神社
「京都府 八坂神社」でGoogleMapを検索すると１ヶ所しか指さないのですが、それに比較して中津市・宇佐市・豊後高田市の八坂神社の数は多いです。
通常、特定の信仰（伊勢信仰や八幡信仰など）が篤いエリアにおいては八坂神社が少なくなる傾向があるのに。
史跡を巡ったり、行く予定のエリアを調べているうちに、「なぜここに八坂神社が？」と不思議に思うことがありました。
八幡神社の総本山である宇佐市の宇佐神宮の弥勒寺跡も八坂神社になっていました。
気になったことといえば、上毛町垂水の八坂神社の前身です。
この八坂神社はかつて「瀧ノ宮牛頭天王」と呼ばれていたそうです。
廣峯神社のご由来
弥生時代、 崇神天皇が国を治めていた今より
おおよそ二千有余年の大昔に、
素戔鳴尊と五十猛尊を白幣山に祀ったのが
当社のはじまりです。
社伝では神宮皇后が三韓征伐に出兵する途中、
この地に寄られ白山に登り、
素戔嗚尊に皇軍の勝利を祈ったとあります。
廣峯神社ホームページから引用
廣峯神社は弥生時代＿二千年以上前に素戔嗚尊と五十猛命を白幣山に祀ったのが始まりとあります。
廣峯山ではなく白幣山なんですね。
こちらの方の記事によると廣峯神社の奥から白幣山の頂上に行けるようです。
頂上には素戔嗚尊を祀る荒神社があったとも。
同じ素戔嗚尊を祀る神社ではありますが、廣峯神社は京都の八坂神社の本家「元祇園」とされているそうです。。
八坂神社に祀られ牛頭天王は、廣峯神社から遷られたと伝えられていると。
ここで上毛町の八坂神社のお話に戻ります。
上毛町の八坂神社が元は「瀧ノ宮牛頭天王」であり、元は播磨（姫路）の廣峯神社から牛頭天王を勧請されたことは事実のようですが、先程引用させていただいたこちらの方の記事によると、慶應4年（1868年）3月の『神祇官の再興及び太政官布告による神仏判然令』により『瀧ノ宮牛頭天王』から『八坂神社』に名前が変えられたそうです。
慶応4年9月8日に元号が「明治」になったので、明治時代になる直前の、社名の変更ということです。
消したかったのは「滝ノ宮」と「牛頭天王」のつながり？
他のエリアでも「滝」が消された寺社があるようです。
四国・徳島県でスサノオと滝宮についての関連について発信している方もいらっしゃいました。
上毛町垂水の八坂神社で祀られる瀬織津姫神。
瀬織津姫神をキーワードに歴史を調べると、滝の神・水神・穢れや罪を祓う神であり、山岳信仰における不動明王と習合する神などと一致するという説を見つけました。
その神の正体は、宇佐地方をかつて統治した「豊玉姫」ではないかと。
その豊玉姫と、牛頭天王の関わりが消されている？
八坂神社の数の多さの謎を調べているうちに、また謎が増えました。